椿TSUBAKI

椿によせて 長寿と器のこと

 

「上古大椿なるもの有り、八千歳を以て春と為し、八千歳を以て秋と為す」

中國の古典「荘子」内篇・逍遥遊より

   

上古時代の大椿という木は、なんと八千年を春とし、八千年を秋としていました。後世、この一節から「椿寿」という言葉が生まれ、人が長生きすること、長寿の象徴とされてきました。大樹ともなりますと花期も大変長く晩秋から春まで延々と咲き続け子孫をのこすために美しい実を結びます。椿は冬になっても落葉しない生命力あふれる常緑樹です。

 

また、古事記や万葉集にも椿が描写されています。江戸時代の大名松平家が狩野山楽の筆にて作らせた“百椿図”には半世紀にも渡り皇族、文人、僧侶など各方面よりそれぞれの椿を詠んだ和歌、漢詩などが寄せられ「八千代の椿」として広く愛され文化を競ってきました。

 

現代においては縁起の良い花として二千余の品種を数え国内外に椿ファンを増やし続けています。

 

凛として清潔でいて華やかさもあるそんな椿に魅せられて、器に椿の花を咲かせました。そこには蔵珍の味わい深い赤を使い、多彩な技術で完成する「眼福口福」が存在する事を信じています。器を目で楽しみ、料理も楽しみながら長寿を願う、毎日の生活の賑わいにして頂ければ幸いでございます。